退職金制度の見直しと中小企業の問題解決

退職金トラブル事例

東京A社:事業主が書類送検

A社は卸売業を大正元年からはじめ、現在の社長は4代目になります。
業績はバブル崩壊以降に受注量が減少、また単価が下落したため非常に厳しい状況であり、売上は3年連続下落となり前年は5千万円の営業損失を計上することとなりました。

 

同社は昭和38年に先代の社長が退職金規程を作成し、現時点でもその退職金規程が有効な状態です。
その退職金規程に基づき、在籍している45歳以上の従業員が定年時まで勤めたと仮定し退職金額を計算したところ、総額1億5千万円となりました。
退職金規程の作成と同時に退職金資金の原資として税制適格退職年金を始めましたが、昭和53年の第2次オイルショックの際に業績悪化を理由に解約してしまいました。

 

それ以降、退職給与引当金にて社内積立を行ってきました。
その後同社は取引先から不渡り手形を貰ったことをきっかけに連鎖倒産してしまいました。
そして社長は退職金不払いの容疑で書類送検されました。

 

青森B社・C社:退職金で倒産

B社とC社が共に経営難となり協議の結果、統合を行うことにより事業再建を目指すことを決定しました。
この時点で両者の負債総額は約266億円でした。

 

再建を目指している中、C社を退職した元従業員が退職金1400万円の支払を求める申立てを裁判所に起こしました。
裁判所はこの申立てを受け、1000万円の差し押さえを認めました。

 

この結果により他の1250もある金融機関や個人などの債権者が、自己の債権を守るために同様の差し押さえを申請する可能性が出てきました。
仮に他の債権者の差し押さえが認められた場合には、自力経営を行いながらの再建は難しいと判断したため、両社は財産保全のために民事再生法の適用を申請しました。

 

東京D社:退職金債権者による2度目の会社更生法の申請

中堅ゼネコンのD社の従業員が合併に反対して、東京地裁に会社更生法の適用を申請し受理されました。

 

同社は1997年にも会社更生法を申請し、2005年3月に更生手続きを終えていましたが、2度目の会社更生法の申請というのは異例の事態です。
事態の発端は支援先でD社の全株を保有するE社がD社との合併などを計画し、合併決議などを目的とした株主総会を開こうとしました。

 

それに対してD社の従業員はE社がD社の取締役会を支配し、E社への融資や債務保証を引き出しD社の財務状況を悪化させていると反発し、合併すると債権の弁済ができなくなる恐れがあるとして退職金債権者の立場で申立てを行いました。

 

その後D社は地裁から更生計画認可の決定を受け、2006年6月末までに更生手続きを終了させる予定を発表しました。